この記事は昨年の11月中旬に、私が黒部峡谷のトロッコ列車で観光した時の様子を紹介するものです。
これまでの黒部立山アルペンルートとは違い富山県側から山頂ではなく渓谷を進んでいきます。
日本三大渓谷のひとつの黒部渓谷。
普通の紅葉狩りには飽きてしまった方や、変わったロケーションで紅葉を楽しみたい人にはとてもおすすめです。
11月ど真ん中、秋の紅葉の様子と、アクセス方法や観光スポットなどを写真を使ってお伝えしていきますので最後まで見ていただければ幸いです。
Contents
黒部渓谷トロッコ列車とは?
もともとは黒部渓谷に発電所を造る際の資材運搬用鉄道でした。
当時、地元の人の足としても無料便乗という形で使われていましたが渓谷の美しさを一目見たいと観光客が増加。
便乗料金を取ったうえで、安全については一切保証しませんがそれでも良ければ、と今で言う同意書のようなものがなければ乗ることはできませんでした。
その後も観光客は増え続け、電力会社とは独立。
今は「黒部渓谷鉄道株式会社」となって鉄道専用の会社となり、トロッコ列車はその愛称になっています。
宇奈月駅前の駐車場に車を停めてチケットを購入
黒部峡谷へのアクセスはトロッコ列車しかありません。
まずは車を駐車場に預けてチケットを買いに行きます。
1日1000円。時間制限などはありません。
黒部ダムや立山などへのアクセス方法などはこちら↓
アクセス方法
この日は結構な混雑模様で、始発の列車は予約でいっぱい。
2便目のチケットはとれましたが、時間が余ってしまったので少し散策。
線路沿いを歩いていると足湯を発見。
サラっとしたお湯と朝の寒さもあってとても気持ちがいいです。
近くに宇奈月温泉があるので、そちらの源泉から引いているのでしょうか?
駅の周りではサルも見られました。
写真では2匹のみですが、見かけた数は10匹はいました。
観光客はみんな(私もですが)驚いていましたが、このあたりではあまり珍しくない光景なのかもしれません。
駅の2階には結構広めの待合室が。
当時の資料などもあって待ち時間は苦痛ではありませんでしたが、なんといってもこの景色。
窓から見られるものですが深い緑と紅葉が、まだ上がりきっていない日の光に照らされているのはとても美しく、この後、この渓谷の中を入っていけると思うと期待が膨らみます。
エメラルドグリーンの湖と渓谷の中の発電所
時刻は8:50。
ここから約1時間20分、欅平駅までの旅が始まります。
トロッコ列車は特別な車両を除いて吹き抜けになっています。
この日の天候は最高。気温も例年よりは暖かく絶好の行楽日和。
雨の日や寒い日はちょっと想像したくないですね・・・。
窓がない分、景色の綺麗さは直接目に入ってきます。
高低差が少しあるのか、それとも渓谷内は気温が低いのか、進んでいくと入り口よりも黄色が目立ってきます。
エメラルドグリーンの湖との対比が素晴らしいです。
トロッコの沿線には発電所とダムがいくつもありますが、どれもが変わった形をしているのは面白いところです。
こちらはダムの写真ですが、水位の高低差が結構あるのがわかります。
黒部渓谷は北アルプスの中にあり、谷の深さも相当なものです。
ここに発電所を作る理由の1つが分かった気がします。
中にはこんな変わった建物も。
何か西洋のお城のような風貌ですが、発電所の一部。
トロッコ列車は谷のギリギリを走っているので、こういった建物が間近で見られるのも面白いです。
まるで遊園地のアトラクションのような乗り心地
車内にはアナウンスも流れていて、ポイントの近くに来るたびに説明が入るので見逃すことはないでしょうが、鉄道自体のカーブがきついので多少聞きづらいことはあるかもしれません。
写真だと少しわかり辛いですが、普通の電車ではありえない角度と速度で曲がっていきます。
遊園地などにある、小さめの列車のアトラクションなんかがイメージと近いでしょうか。
吹き抜け車両は4人掛けで背もたれは無く、1両に座席が6,7列並んでいる形。
全体では13、4編成位でしょうか。
車両がカーブに差し掛かっても先頭車両が見えたり、逆にきついカーブのトンネルなんかではひとつ前の車両しか見えなかったりと、景色以外でも楽しめるので長い乗車時間はあっという間に過ぎてしまいます。
他にも、全国にはこういった車両があるのでしょうか?
電車旅はしたことがないですが、少し興味が湧いてきます。
終点、欅平に到着
時刻は10:20。
終点、欅平に到着。
景色が良すぎてあっという間の感じがします。
トロッコ列車には欅平につく前にいくつかの駅があるのですが、ほとんどの方は終点まで乗っていました。
途中の駅で気になったのが鐘釣駅。
河原から温泉が湧き出ていて、石で囲い自分だけの露天風呂を作ることができる河原露天風呂と、夏でも解けない黒部万年雪が見られる駅です。
途中下車する方が一番多かったのはこの駅で、外国人の方も見られました。
次の機会では行ってみたいですね。
この先は私が散策した中でのおすすめスポットを紹介していきます。
オススメスポット① 黒部川にかかる奥鐘橋
駅からまず目に入るのが黒部川にかかる奥鐘橋。
橋の濃い朱色と、橋から見られる景色のどちらもきれいで、特に橋自体は駅の屋上にある展望台からの景色が、黒部川と山と対比で1番綺麗にみられるでしょう。
展望台の景色はこちら。
到着したら一度、展望台の方まで登ってきてこれからの散策エリアを決めるのはオススメです。
端から端まで散策すると結構な時間が掛かりますから。
オススメスポット② 迫力満点の人喰岩
次に紹介するのは人喰岩です。
先ほどの奥鐘橋からも見えますが、お互いに近いところにあるのでこちらまで散策する方が多かったです。
ここは道を作るために削った後にできたもので、人を飲み込もうとする様からその名前がついたそうです。
とにかく迫力があって少し恐怖を感じるくらいです。
オススメスポット③ 名剣温泉露天風呂と食事
※参照 黒部峡谷トロッコ列車ホームページ
日帰り温泉なら、名剣温泉がおすすめです。
欅平から30分ほどの場所にあります。
岩の露天風呂は洗い場、脱衣所ともに小さいですが雰囲気があり、トロッコで冷えた体を温めてくれます。
温泉は硫黄のにおいが少しあり、色は透明、触った感じはさらっとしていてとても気持ちがいいです。
食事に関しては写真はホームページのものを使わせていただきましたが、私の場合はランチの終わり間近と客入りが多かったこともあって、かけそばとおにぎりをいただきました。
食事処の営業時間が短いので少し注意が必要です。
ここからは往復2時間以上の散策ルート 自分の体力や体調と要相談
ここからは、トータルで2時間以上の散策ルートの紹介です。
とにかく道のりが長いのと、帰りは来た道を戻ることになるので天候などをふまえて判断をしっかりとしてから進んでください。
名剣の湯からさらに奥まで歩いていきます。
散策路の終点、祖母谷温泉までは欅平から片道1時間かかります。
途中には長~いトンネルが。
なんと全長300mもあり、さらには少しのぼり坂です。
正直、この時はせっかくなので奥まで行ってやろうって気持ちでしたがこのトンネルを見たときは引き返そうかと思いました。
たくさんいたトロッコ列車の乗客でここまで来る人はほとんどおらず、自分の足音と川の流れる音しか聞こえなかったのも原因の一つかもしれません。
ただ、トンネル以外での川沿いの道はどこをとっても絶景で疲れはあまり感じませんでした。
急斜面の岩肌とそこから伸びている紅葉の木々はなにか盆栽のように見えます。
トンネルを抜けると散策路の終点、祖母谷温泉が見えてきます。
その途中の道の橋からは変わった石が見られます。
蛙石と呼ばれているこの石は、斑点のような模様がついています。
まるで、誰かがあとから色を塗ったみたいにはっきりと色の違いがわかりますね。
この黒部川の周辺は他の地域よりもかなり隆起が早く、100~200万年前後(それでも結構長い期間ですが)と世界でも相当新しい花こう岩だそうです。
ふつうは数千万年単位で地表に出てくるものらしいので、いかに隆起のスピードが早いかがわかります。
祖母谷温泉に到着。
時刻は13:00。
残念ながらここの温泉は早い時期に閉めてしまうため入れず。
ここは露天風呂だけ、とシンプルなつくりになっていて日帰り入浴のほかにも、宿泊もできるみたいです。
近くには源泉でしょうか?
硫黄のにおいと一緒に湯気が立ちのぼります。
隣の川の方からも湯気がたっており、白くなっている川の方は触ると少し生暖かいです。
ここが終点ですが、ここからは遠くの山に雪が積もっているのが見えます。
向こうの山から欅平まで歩いていく登山ルートがあるそうですが、どこからこちら側に来るのか見つけられませんでしたが相当な距離があるのは間違いなさそうです。
遠くまで歩けない方は河原展望台の足湯と人喰岩との往復がおすすめ
河原展望台は欅平の駅から、階段を降りたところにあります。
ちょうど写真に奥鐘橋が映っていますね。
ここには足湯があり、名剣の湯とは違いかなり白濁した硫黄の強いものになっています。
階段は結構な段数があり少し苦労するかもしれませんが、川の合流地点や谷の低いところまで来られるので一見の価値ありです。
ここには本来、見どころスポットの猿飛峡があるのですが、現在は途中で通行止め。
川幅が最も狭く、昔、サルが飛び越えていたことからその名前がついています。
先ほどの河原展望台の足湯から反対側に道はありますが、道幅も狭く歩くのは大変かもしれません。
一応、遠目には通行止めの場所から猿飛峡がほんの少し見えるそうです。
日が傾き始めたトロッコの帰路と再びの露天風呂
時刻は14:30を過ぎ、名残惜しいですが帰りの準備をすることに。
この時間でも、宇奈月温泉側からくる方が多いのには驚きました。
日が暮れた後のトロッコを楽しみにしているのでしょうか?
朝とは違い太陽が傾き始めているので、谷の深い所には日が当たらず行きとはずいぶん景色が変わって見えます。
湖面も、緑より青が少し濃くなったように思えます。
欅平で結構な時間滞在しましたが、ここまで景色が変わってみられるのは嬉しい誤算です。
動画の切り抜きなので画像が荒くて申し訳ありません。
宇奈月温泉駅の最初の橋まで戻ってきました。
長かったトロッコの旅はここで終了、楽しい秘境旅だったので少し寂しく感じてしまいます。
駐車場までやってきました。
時刻は16:20。
あたりはだんだん暗くなっていき、山の頂上付近だけに日が当たるようになりました。
ここから帰りのトロッコから見えた、黒部川の対岸の温泉で汗を流しに行ってみることに。
写真は温泉からあがった後なので暗くなっていますが、宇奈月温泉駅からしばらく列車と平行に走り、川をこえた突き当りにとちの湯はあります。
とちの湯の露天風呂からは、黒部渓谷を縫って走るトロッコ列車と宇奈月湖を見ることができます。
そちらもまたいい景色で、だんだんと日が陰っていく峡谷は素晴らしいものです。
結局営業時間いっぱいの日没、17:30まで堪能しました。
とちの湯 アクセス方法
宇奈月温泉駅からは車で約10分。
駐車場からは少しだけ歩きます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
黒部立山ルートとはまた違う魅力が、黒部峡谷トロッコ列車にはあります。
秘境観光を十分楽しむために、私が感じた注意点をお伝えします。
注意点1 トロッコ列車や気温差に注意
天候、気温によっては特にトロッコ列車で寒さを感じてしまうかもしれない事。
標高は600mとそこまで高いわけではありませんが、かなり深い峡谷なので風や日当たりなどでは平地との気温差があるかもしれません。
注意点2 混雑状況とダイヤの確認
今回の旅行では、始発は混雑で乗ることができませんでした。
また、帰りも乗車率は80%程度はありました。
事前に混雑しやすい日や時間帯などは確認した方がよさそうです。
注意点3 トロッコの所要時間
トロッコのチケットは定員制で決められた便に乗ることになりますが、席の指定はなく車内にはトイレなどはありません。
1時間を超える長旅になるので、事前に済ませておくことをお勧めします。
おまけ
現在はトロッコ列車では黒部ダムへは行けませんが、来年、2024年には新しいルートが開通。
終点の欅平のその先から、様々な工事用車両を乗り継いで黒部ダムまでをつなぐ「黒部宇奈月キャニオンルート」が運行するそうです。
これまで行かれた方はもちろん、初めて行かれる方の選択肢の一つになるかもしれません。
以上になります。
ここまで見ていただきありがとうございました。
このブログがどなたかの参考になれば嬉しいです。